犬のハイドロセラピー

ハイドロセラピーとは

水の特性(浮力、静水圧、粘度、抵抗、熱効果)を利用してプールや水中トレッドミルで行う理学療法をハイドロセラピーと言います。

股関節形成不全などの関節疾患、運動器疾患の手術後、神経疾患、関節炎などの慢性疾患で運動が困難な犬、高齢犬のリハビリテーションにおいて特に有効であり、水の特性により痛みを伴わずに筋肉を鍛え動きを快適にする運動環境でトレーニングを実施できます。水中では陸上よりも早くから安全に四肢、体幹、姿勢のトレーニングを行うことができるため、体力、バランス、協調性の早期向上につながります。

ハイドロセラピーとは

また、30℃前後の温水環境と浮力、静水圧により筋肉にリラクゼーション効果をもたらします。水中での定期的な運動は代謝を上げ心肺機能を高め、体力と持久力を強化するため、健康な犬のフィットネス、太り気味の犬のダイエット、スポーツをする犬のコンディション維持としても最適です。

当センターのハイドロセラピーでは、陸上で行う理学療法と同様に理学療法専門の獣医師が診察による状態の確認(全身の筋肉の状態、歩行検査、関節の可動域や筋周囲径の計測、フォースプレート検査など)を実施し、ハイドロセラピーのプログラムを立てます。状態によっては他の理学療法を併用することもあります。(フィットネス利用は除く)

プログラムには水泳や水中歩行、水中での立位維持、バランス練習等に加え、水中での筋肉のリラックスした状態を利用して関節可動域運動やマッサージ・ストレッチなどを実施します。柔軟性、筋力、バランス、協調性、姿勢意識、動き、スピード、持久力の改善を目標としています。

ハイドロセラピーは体内に腫瘍があったり、内臓疾患、循環器系、呼吸器系に異常のある場合などは安全に行えない可能性があり実施できません。一見健康に見えても異常が隠れている場合があり、ハイドロセラピーを実施する前には血液検査とレントゲン検査で健康状態の確認をお願いしております。

ハイドロセラピーの手順(プール)

プールではそれぞれの動物さんに合わせて少しづつ慣れてもらいながら、心地よさや能力に応じてセラピー時間を増やしていきます。

  1. その日の健康状態をお聞きし、体重、心拍数、呼吸数を測ります。(先に理学療法の診察が必要な場合もあります。)
  2. シャワーおよび簡単なシャンプーにて汚れを落とします。準備体操としてマッサージ・ストレッチを実施します。
  3. 休憩を挟みながらセラピストがプールプログラムを実施します。
  4. プログラム終了後、クールダウンとしてマッサージを実施します。
  5. シャワーで体を流しコンディショナーで被毛の状態を整えます。プール後に飼い主様が施設設備を利用してシャンプーして頂くことも可能です。(シャンプーはご持参ください)
  6. ドライルームでの乾かし(飼い主様にお願いしております)

セラピー時間は前後のシャワーを含め最大30分です。
ドライヤー、タオル、ブラシ等は用意がありますのでご利用ください。
乾かしについては別途料金(小型犬¥2200〜)にて承ることも可能です。ご相談ください。

ハイドロセラピーの効果

  • 筋力、持久力の向上
  • バランスの改善
  • 四肢の協調性向上
  • 他動的/自動的関節可動域の改善による関節の柔軟性の向上
  • 体重の負荷の調節が可能であるため関節負担を軽減
  • 心拍出量の増加、肺活量の増加
  • 暑い季節でも運動量の維持が可能
  • 陸上ではあまり使われない筋肉の使用率が高まる
  • リラックス効果

当施設のハイドロセラピーの特徴

当センターのハイドロセラピーでは、リハビリプールと水中トレッドミルをご利用頂けます。
状態やニーズに応じてどちらかを選択したり、両方を組み合わせてトレーニングを行ったりします。例えば後肢の麻痺があり立てない時に体幹を鍛えたり運動感覚を取り戻すために水泳を実施する場合があり、その後水中トレッドミルで歩行の再教育と連続した歩行を学習します。

また、大きいプールが怖い場合、まず水中トレッドミルを利用して水に慣れることができます。水泳と歩行の2つの運動を取り入れたクロストレーニングを行うことも可能です。プールにはジェット水流設備があり、水中トレッドミルは大型で十分な大きさがあるため、小型犬から大型犬まで幅広い犬種でご利用可能です。

ハイドロセラピーとは